いい判断力を持つプレーヤー(選手育成のための参考文献)

平尾 誠二 談
元ラグビー日本代表監督、日本ラグビー協会理事

私が見てきた印象でいうと、親とけんかしながら生きてきたヤツのほうが判断能力に長けているような気がする

 いい判断力を持つプレーヤーを、いかにして育てるか。それは今、とても難しくなっています。判断力の育成は、できるだけ早いうちからの訓練が必要だからです。それこそ年齢を重ねれば重ねるほど手遅れになります。
 物事を決めていくことは、とても小さな判断の連続になります。ところが、子供の頃から母親に「これを食べなさい」と言われて文句も言わずに食べ、「これしなさい」「あれしなさい」とことごとく指示され続けると、自分で考えることが必要とされないので、そのうち指示待ち族になってしまいます。
 そんな生活を大学生あたりまでやっていると、社会人になって自分で何かをやろうとしてもできないわけです。当たり前です、無理に決まっています。
 親は、子供が小さい頃から、できるだけ多くのことを自分で決めさせるように仕向けなければなりません。「どうする?」「どうしたい?」という声かけをして、意思表示をうながす。そういう習慣をつけていくことで、やがてどんどんと大きな判断ができるようになります。
 自分の食べる物さえ決められない人間が、会社のこと、仕事のことをどうやって決められますか。物事には関連性があります。どうしたら、どうなるのか。それを常に考えて、決められるよう幼少の頃から身につけていくことがとても大切です。
 私の見てきた印象ですが、親とけんかしながら生きてきたという人のほうが、その能力に長けているような気がします。
 ラグビーの練習にしても、この技術を習得するためにはどんなことをしたらいいと思うか、指導者はそのような議題を提供して、選手自身に考えさせる時間を作ってほしい。そして答えを聞きながら、そこはちょっと違うというときには、手をさしのべていい方向に導いていく。
 また、自分で決めるということには必ずリスクがつくことも、同時に教えていってほしいと思います。あいつが悪いだとか、こいつのせいだとか、他人のせいにはできないんだということを、しっかり教えていき、その中で周囲とのかかわりをも学んでいってほしいものです。

選手育成の参考になれば幸いです。CALDIO FC